税務調査の事前対策-源泉所得税調査

源泉所得税調査

源泉所得税の調査も消費税の調査と同じように、通常は法人税や所得税の調査と同時に行われます。ただし、法人税の申告が赤字の法人や、報酬の支払が多い法人、海外取引をしている法人などは、源泉所得税の単独調査が行われます。
源泉徴収漏れについては、源泉徴収義務者である法人や個人が立替払いをするとともに、不納付加算税というペナルティが課せられます。

税務調査のポイントと事前対策は以下のとおりです。

(1) 従業員等への給与の支払い

扶養控除等申告書(所得税チェックリスト)の提出のもと、適正に源泉徴収がされているかを調査します。提出がない場合乙欄での徴収として、徴収漏れとなります。また、個人別に年末調整の計算内容について基礎資料と計算結果を確認します。

特に学生などのアルバイトは、年間にすると税金もかからない(103万円以下)として、源泉徴収をしない場合もあるようですが、扶養控除等申告書(所得税チェックリスト)の提出が前提条件ですので、人を雇う際には提出を徹底することが必要です。

(2) 報酬料金等

調査官は、契約書などを確認し、個人に対する支払いについて、源泉徴収の対象となる支払いかどうかを調査します。

報酬料金等の支払いに対する源泉徴収は、所得税法第204条1項において限定列挙されたもののみが対象となります。事前に対象の有無を確認し、徴収漏れのないようにします。

(3) 非居住者、外国法人への国内源泉所得に係る源泉徴収

調査官は、非居住者(日本に住所がない人)や外国法人への国内源泉所得(日本国内において発生した所得)の支払いについて、源泉徴収の対象となる支払いかどうか、また、適正な税率により源泉徴収が行われているかどうかを調査します。

非居住者や外国法人への支払いについては、不動産の賃借料や、特許権の使用に伴うロイヤリティなど、源泉徴収の対象となるものがあります。その際の源泉徴収税率は、原則20%とされていますが、租税条約が締結されている場合には、税負担が軽くなるような措置がとられています。源泉徴収の対象となる支払いかどうかをよく確認する必要があります。